今回は、メモリ整合性について解説します。
メモリ整合性とは?という基本的な内容から、以下のような質問にも答えています。
- メモリ整合性はオン・オフどっちにしたらいい?
- メモリ整合性をオンにできない、オフにできない
- 互換性のないドライバーを削除する方法がわからない など
メモリ整合性と言われてもなんのことか全然わからない、設定を変えたら不具合が出た、変えたいけれど変えられない!という方などは、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。
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Winodws11のメモリ整合性とは?回答です
メモリ整合性(HVCI:Hypervisor-Enforced Code Integrity)とは、簡単に言うとセキュリティ機能の一つです。
もう少し詳しく説明すると、「コア分離」という機能に含まれるのがメモリ整合性です。
コア分離とは、OSを
- 通常のWindowsOS
- OSの中の重要な部分
に分離するということで、これによって悪意のあるプログラムからOSの重要な部分を守ることができます。
メモリ整合性の役割は、分離された「OSの中の重要な部分(VSM:Virtual Secure Module)」を起動する際に、「ドライバーやOSのコードが安全であるかチェックする」ことです。
このように、メモリ整合性はセキュリティに関する機能であり、オンにすることでパソコンを悪意あるプログラムやマルウェアから保護することができます。
Winodws11のメモリ整合性はオン・オフどっち?メリットとデメリット
セキュリティ面を考慮した場合、メモリ整合性はオンにしたほうがよいでしょう。
しかし、オンにすることでドライバーやパソコンの動作に影響が出てしまう可能性もあります。
以下で説明するオン・オフのメリットとデメリットを参考に、パソコンのスペックや利用状況に合わせて設定してみてください。
- メモリ整合性をオンにするメリットとデメリット
- メモリ整合性をオフにするメリットとデメリット
それではひとつずつ確認していきましょう。
Winodws11のメモリ整合性をオンにするメリットとデメリット
メモリ整合性をオンにすると、セキュリティ機能が働いて悪意のあるプログラムからパソコンを守ってくれるというのがメリットです。
一方で、メモリ整合性がオンになっていると、パソコンのメモリ消費量が増えてしまいます。
メモリの消費量が増えると、パソコンによっては動きが重くなることもあるでしょう。
また、メモリ整合性がオンになっていると一部のドライバーが使えない場合もあります。
このように、メモリ整合性をオンにするとセキュリティが向上しますが、一方でメモリ消費量が多くなりパフォーマンスに影響が出てしまう可能性があります。
Winodws11のメモリ整合性をオフにするメリットとデメリット
メモリ整合性をオフにすると、オンにしている場合と比較してパソコンのメモリ消費量が少なくなるため、パフォーマンスが改善される可能性があります。
一方で、メモリ整合性をオフにしていると、パソコンのセキュリティが低くなります。
一度オンにしてみて、パフォーマンスや周辺機器の利用状況に影響が出てしまう場合は、オフにするとよいでしょう。
このように、メモリ整合性をオフにすると動作は軽くなりますが、セキュリティに影響が出てしまう可能性があります。
Windows 10、11でメモリ整合性をオンにできない場合
Windows 10やWindows 11でメモリ整合性をオンにできない場合、以下のような原因が考えられます。
- ハードウェアの仮想化がオンになっていない
- 互換性のないドライバーが存在する
メモリ整合性をオンにできない場合は、上記のような原因を取り除くことでオンにできるようになる可能性があります。
以下の内容を参考にしてみてください。
ハードウェアの仮想化がオンになっていない
メモリ整合性をオンにするには、まずハードウェアの仮想化をオンにしておく必要があります。
ハードウェアの仮想化が有効になっていないことが原因でメモリ整合性をオンにできない場合、BIOSやUEFIでの設定が必要です。
BIOSはパソコンの起動時にメーカーロゴが表示されている時に起動キー(メーカーにより異なります)を押すことで起動できます。
互換性のないドライバーが存在する
メモリ整合性をオンにしようとしたけれど、「メモリ整合性を有効にできません ドライバーの非互換性を解決してみてください」などのメッセージが表示される場合、互換性のないドライバーが影響している可能性があります。
このような場合は、該当するドライバーを確認して、削除する必要があります。
互換性のないドライバーを確認して削除する方法は以下の通りです。
本項目では3つの方法を紹介しますので、利用環境やご自身のやりやすさに応じた方法を試してみてください。
【互換性のないドライバーを確認、削除する方法①デバイスマネージャーから削除する】
- 「コア分離」の「メモリ整合性」の下部に表示されている「互換性のないドライバーを確認する」を選択します。
- 互換性のないドライバーを確認します。
- 確認したドライバーを削除するために、まずは「スタート(Windowsマーク)」を右クリックします。
- 「デバイスマネージャー」を選択します。
- 「表示」を選択します。
- 「デバイス(ドライバー別)」と「非表示のデバイスの表示」を選択します。
- 「互換性のないドライバー」に表示されているドライバーを探します。
- 該当のドライバーを右クリックします。
- 「ドライバーの削除」を選択します。
- 再度メモリ整合性のメニューに戻り、有効化できるか確認します。
このように、「ドライバーの非互換性を確認してください」などのメッセージが表示されてメモリ整合性をオンにできない場合、互換性のないドライバーを削除することで、有効化することができます。
【互換性のないドライバーを確認、削除する方法②コマンドプロンプト、PowerShellを使い削除する】
- 「コア分離」の「メモリ整合性」の下部に表示されている「互換性のないドライバーを確認する」を選択します。
- 互換性のないドライバーを確認します。
- Windowsの検索ボックスに「cmd」または「PowerShell」と入力します。
- 「コマンドプロンプト」または「PowerShell」を右クリックします。
- 「管理者として実行」を選択します。
- 「pnputil /enum-drivers」と入力します。
- 「pnputil /delete-driver ◯◯.inf」(◯◯は互換性のないドライバーの公開名)と入力します。
【互換性のないドライバーを確認、削除する方法③エクスプローラーから削除する】
- 「コア分離」の「メモリ整合性」の下部に表示されている「互換性のないドライバーを確認する」を選択します。
- 互換性のないドライバーを確認します。
- エクスプローラー(フォルダのマーク)を起動します。
- エクスプローラーのボックスに「C:\Windows\System32\drivers」と入力します。
- ドライバーの一覧が表示されます。
- 互換性のないドライバーを直接管理者権限で削除します。
Windows 10、11でメモリ整合性をオフにできない原因
Windows 10やWindows 11でメモリ整合性をオンにしたあとオフにできないという場合は、レジストリを編集してオフにできる可能性があります。
ただし、レジストリを編集する際に操作にミスがあるとシステムに不具合が発生する可能性もあります。
そのため、この操作を行う場合にはデータのバックアップや、システムの復元ポイント作成を行ってください。
こちらでは、まずシステムの復元ポイントを作成する方法から解説します。
システムの復元ポイントを作成しておくことで、不具合が発生した場合に元の状態に戻すことができます。
【システムの復元ポイントを作成する方法】
- 「スタート(Windowsマーク)」を右クリックします。
- 「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「Control」と入力します。
- Enterキーを押します。
- コントロールパネルが起動します。
- 「表示方法」を「大きいアイコン」にします。
- 「回復」を選択します。
- 「システムの復元の構成」を選択します。
- Windowsがインストールされているドライブ(基本的にはCドライブ)を選択します。
- 「システムの保護」タブを選択します。
- 保護設定を確認し、「無効」の場合は「構成」を選択します。
- 「システムの保護を有効にする」を選択します。
- 「OK」を選択します。
- 「システムの保護が有効になっているドライブの復元ポイントを今すぐ作成します」の右にある「作成」を選択します。
- 自分がわかる復元ポイントの名前を入力し、「作成」を選択します。
- 作成が完了したら「閉じる」を選択します。
これで復元ポイントの作成は完了です。
次に、レジストリを編集してメモリ整合性をオフにする方法を解説します。
【レジストリを編集してメモリ整合性をオフにする方法】
- 「スタート(Windowsマーク)」を右クリックします。
- 「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 「regedit」と入力します。
- 「OK」を選択します。
- レジストリエディタが開いたら、「HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\DeviceGuard\Scenarios\HypervisorEnforcedCodeIntegrity」を開きます。
- 「HypervisorEnforcedCodeIntegrity」を選択している状態で、「Enabled」と「(規定)」以外の項目を削除します。
(右クリックして「削除」を選択) - 「Enabled」をダブルクリックします。
- 値を「0」にします。
- 「OK」を選択します。
- 完了したら、レジストリエディタを終了します。
- PCを再起動します。
PCを再起動したら、メモリ整合性がオフになっていることを確認してください。
「メモリ整合性はオフです。お使いのデバイスは脆弱な状態にある可能性があります」とは?
Windowsセキュリティのアイコンに「!」という警告マークが表示されていたり、それをクリックして確認すると「メモリ整合性はオフです。お使いのデバイスは脆弱な状態にある可能性があります」というメッセージが表示されたりしている場合があります。
このような場合は、ドライバーなどが影響して本来オンになっているメモリ整合性がオフになってしまっているなどの可能性が考えられます。
メモリ整合性は互換性のないドライバーがインストールされているとオンにできないため、上記のような状況の場合は非互換性のドライバーをチェックして削除しなければなりません。
互換性のないドライバーを削除する方法は、以下の項目に記載しています。
→Windows 10、11でメモリ整合性をオンにできない場合
上記の項目を参考に、互換性のないドライバーを削除したのちにメモリ整合性をオンにしてみてください。
Winodws11のメモリ整合性で互換性のないドライバーと表示される場合
メモリ整合性をオンにしようとしたけれど、「互換性のないドライバー」が表示されるという場合は、メモリ整合性をオンにするにあたって一部のドライバーが影響している可能性があります。
このような場合は、互換性のないドライバー一覧に表示されているドライバーを削除することでメモリ整合性をオンにすることが可能です。
互換性のないドライバーを削除する方法は以下の項目に記載していますので、参考にしてみてください。
→Windows 10、11でメモリ整合性をオンにできない場合
このように、メモリ整合性のメニューで互換性のないドライバーが表示される場合、非互換性のドライバーを確認して削除することで問題が解決する可能性があります。
メモリ整合性とは?オン・オフどっち?できない場合の解決方法も解説のまとめ
今回は、メモリ整合性について解説しました。
メモリ整合性をオンにすることで、パソコンのセキュリティが向上します。
しかし、パソコンのスペックなどによっては動作が重くなってしまうこともありますので注意が必要です。
また、利用している周辺機器・ドライバーによってはメモリ整合性をオンにできない場合や、不具合が発生してしまう場合もあります。
実際の利用環境に応じて、メモリ整合性をオンにするか、オフにするかを検討してみてください。