今回は、Windows10やWindows11でHDD(ハードディスク)の不良セクタ(バッドセクタ)を修復する方法を解説します。
フォルダが表示されない、データの読み書きの際にエラーメッセージが出る、ハードディスクから異音がする……といった場合、何らかの原因により不良セクタが発生している可能性があります。
問題に気づいた場合、早めに対処することで救出できるデータが増えますので、こちらを参考にしていただければと思います。
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Windows10、11でのHDD(ハードディスク)の不良セクタとは?
Windows10、Windows11でのHDDの不良セクタは、ハードディスク内で物理的に摩耗が起きてしまうことにより発生します。
こちらの項目では、不良セクタについて以下の内容を解説します。
- そもそもセクタとは何か
- 不良セクタが発生するとどうなるのか
そもそもセクタとは何か
セクタというのは、HDDなどの円盤型の記憶装置における記録単位です。
HDDなどでは、そのディスクの中をエリアごとに区切り、各エリアに記録がおこなわれます。
まず、ディスクを円状(木の年輪のように)にエリア分けしたものがトラックという単位です。そして、その状態でさらにディスクの中心から放射状に等間隔で区切ったものがセクタです。
不良セクタが発生するとどうなるのか
セクタが摩耗等で不良セクタとなると、そのセクタを利用できなくなってしまいます。
ただ、不良セクタが発生したからといってすぐに不具合が起こるわけではありません。
許容量の範囲内で不良セクタが発生しても、HDDは予備のセクタを使用する・不良セクタをスキップするなどして正常に動作します。
しかし、不良セクタが多くなるなど状態が悪化すると、HDDへのアクセスができなくなってしまう場合もあります。
そのため、HDDに問題が起き、それが不良セクタの影響だと判明した場合には、早めに対処するのが望ましいでしょう。
Windows10、11でHDD(ハードディスク)の不良セクタを修復する方法はあるのか?
Windows10、Windows11でHDDの不良セクタが発生した場合、修復する方法はあるのでしょうか。
結論を先に述べると、物理的な破損による不良セクタを100%修復するのは不可能です。
しかし、場合によっては不良セクタによる問題が発生しているハードディスクのデータを一時的に修復し、データの一部もしくはすべてを取り出せる可能性はあります。
そのためには、Windowsのツールやソフトを利用するのが良いでしょう。
不良セクタをフリーソフトで修復する
Windows10やWindows11でフリーソフトを用いて不良セクタを修復する方法には、以下のようなものがあります。
正確には不良セクタ自体を修復することはできないので、できる限りのデータを救出する・復旧するという形になります。
- ddrescueを使ってデータを修復する
- HDD Regeneratorで不良セクタを修復する
ddrescueを使ってデータを修復する
ddrescueはデータコピーをしてくれるプログラムです。
ddrescueでは、不良セクタ部分を飛ばし、問題のないセクタから優先してデータをコピーします。
そのため、ddrescueは問題のあるディスクからであっても比較的多くのデータを救出できるプログラムだと言えるでしょう。
基本的に、不良セクタは正常なセクタに戻ることはありません。
そのため、正常なディスクへデータを移行し、被害を最小限に抑えた後にそちらのディスクを復旧するという手段が有効です。
【ddrescueを使ってデータコピーする方法】
- Index of /gnu/ddrescueよりddrescueを入手する
- ハードディスクをSATA接続する
- ddrescueを起動する
- 「ddrescue -f コピー元 コピー先」を入力
(オプション「-r」を利用すると不良セクタを再読み出しします) - 「Enter」キーで実行
「Ctrl」キー+「C」キーでコピー作業を中断します。
コピー元とコピー先の記載順に注意しましょう。
HDD Regeneratorで不良セクタを修復する
HDD Regeneratorは、不良セクタを修復できる可能性があるソフトです。
こちらのソフトは有料ですが、フリー版もあります。
フリー版では1回の起動につき1つの不良セクタのみを修復できます。
有料版は価格も現在99.99ドルです。
場合によってはハードディスクを新しくするほうがいいケースもありそうですね。
HDD Regeneratorは一般的に物理的な不良セクタを修復することはできませんが、磁性による不良セクタのエラーを回復できる可能性があります。ただし、その他に起因する問題には対処できないようです。
必ず修復できるというわけではないので、その点には注意が必要です。
これはあくまでも軽度の論理障害に対する解決法であり、また、この方法を実行することの負荷によっても不良セクタが発生する可能性もありますので、注意してください。
【HDD Regeneratorで不良セクタに対処する方法】
- Dmitriy Primochenko OnlineよりHDD Regeneratorを入手する
- ライセンス購入をする
(フリー版もあります。一回の起動につき1つの不良セクタのみを修復可能です) - USB、DVD、CD等にプログラムを書き込みする
- HDDのI/FがSATA&AHCIモードの場合、BIOSでSATAモードをIDEに変更
- プログラムを書き込んだメディアからHDD Regeneratorを起動
- NormalモードもしくはPreScanモードを選択
(Delayed Sectorを検出する場合はPreScan)
Windows10、11でHDD(ハードディスク)の不良セクタが発生する原因
Windows10やWindows11でHDDの不良セクタが発生する原因には、以下のようなものがあります。
- HDDの初期不良
- HDDのヘッド破損
- HDDの磁性体の劣化、寿命
HDDの初期不良
不良セクタはHDDの出荷時より存在します。
しかし、その不良セクタは正常なセクタに代替されスキップされるので、すぐに問題になることはないと言えるでしょう。
HDDのヘッド破損
HDDのヘッドが破損することでも、不良セクタが発生する原因となります。
HDDのヘッドというのは、データの読み書きに使う部分です。
このヘッドが破損すると、読み書きの際にディスクの記録面に傷をつけてしまいます。
傷ついた部分は不良セクタとなり、読み込めなくなってしまいます。
HDDの磁性体の劣化、寿命
HDDの磁性体が劣化することでも、不良セクタが発生する原因となります。
磁性体はディスクの表面にあり、これによってデータの読み書きが可能です。
しかし、この磁性体が劣化すると、その部分の読み書きが不可能になってしまいます。
Windows10、11でHDD(ハードディスク)の不良セクタが原因のトラブルとは
Windows10やWindows11でHDDの不良セクタが原因で起こるトラブルには、以下のようなものがあります。
- 頻繁ブルースクリーンになる
- HDDから異音がする
- Windowsの起動中に不具合が起こる
- エラーメッセージが表示される
頻繁にブルースクリーンになる
不良セクタが原因で起こるトラブルの一つに、「頻繁にブルースクリーンになる」というものが挙げられます。
ブルースクリーンが表示されると、同時にエラーコード等が表示されることがあります。
「0xc000009c」のエラーコードは、HDDのセクタに不良があるということを表しているようです。
不良セクタが増えすぎた結果その代替として使用される予備のセクタが無くなってしまったという可能性も考えられます。
このような場合は、HDDがだめになってしまう前に早めにバックアップを取り、新しいHDDへ交換したほうが良いかもしれません。
HDDからの異音
HDDから通常とは異なる音がしている、という場合も、不良セクタの発生とともに起こるトラブルの場合があります。
ヘッドがディスクに接触している場合には「シュー」などの擦るような音がすることもあるようです。
また、「カタカタ」「ジッジッ」などの音がするというケースもあります。
特にヘッドがディスクに接触している場合は、そのままスクラッチしてしまい多くの傷をつけてしまう可能性もあります。
このような異音がする場合はさらなる障害を防ぐため、一旦早めに電源を落としてください。
Windowsの起動中に不具合が起こる
不良セクタが原因でWindowsが起動できない、または、起動する際異常に時間がかかるという場合もあります。
不良セクタがOSに関連する部分に発生してしまった場合、起動に必要なデータが読み取れなくなってしまう可能性があります。
また、起動に時間がかかるという場合は、HDDが不良セクタの部分を何度も読み込もうとしているからかもしれません。
エラーメッセージが表示される
不良セクタが原因でエラーメッセージが表示される可能性もあります。
例えば、「巡回冗長検査エラー」や「遅延書き込みエラー」や「セクタが見つかりません」などのメッセージです。
これらは、データの読み書き時に発生します。
Windows10、11でHDD(ハードディスク)の不良セクタを使わないようにするには
Windows10、Windows11でHDDの不良セクタが発生している場合、その不良セクタを使用しないようにするには、以下のような方法があります。
- 不良セクタをマークする
とはいえ、不良セクタによる問題が発生し始めていると感じたら、速やかに交換等の対応をすることをおすすめします。
なぜなら、ファイルを読み込めない、エラーメッセージが出るなどの問題が出ている状況ということは、不良セクタが代替されず問題が起きているからです。
不良セクタの代替処理にも限界があり、その限度まで不良セクタが増えてしまっていることになります。
こういった場合、物理的に不良セクタが増える原因がある可能性が高いと考えられます。例えば、ヘッドの損傷などです。そして、原因があるまま使い続けることで損傷が増えてしまいます。
不良セクタを使わないようにする方法はありますが、上記のように問題が起きている場合は速やかに対処してください。
不良セクタをマークする
CHKDSKやSCANDISKを用いて不良セクタをマークすると、マークされた不良セクタは使用されなくなります。
なおこれらの方法を実行すると、場合によってはデータが消える可能性があります。念のためバックアップを取っておきましょう。
【不良セクタをマークする方法】
- Windowsの検索ボックスに「cmd」と入力
- 「コマンドプロンプト」を右クリック
- 「管理者として実行」を選択
- ウインドウに「chkdsk c:/f /r」と入力
- 「Enter」キーを押す
- 「ボリュームが別のプロセスで使用されているため、CHKDSKを実行できません。次回のシステム起動時に、このボリュームのチェックをスケジュールしますか?」と表示されたら、「Y」と入力
- チェックが完了すると、不良セクタがマークされ、システムによりスキップされるようになります。
Windows10、11でHDD(ハードディスク)の不良セクタを修復する方法まとめ
今回は、Windows10やWindows11でHDDの不良セクタを修復する方法を解説しました。
通常のレベルで不良セクタが発生しても、予備のセクタと置き換えたりスキップするなどの対応がされることがほとんどです。
しかし、不良セクタが増えてしまいHDDに問題が発生した場合、データを失う可能性もあります。
解決法によってはデータを救出できる可能性はありますが、できる限り普段からバックアップを取っておきたいところです。
ハードディスクの状態があまりにも悪いという場合や、重要なデータがあるという場合には、無理に対処せず業者への依頼を検討したほうが良いかもしれません。
また、不良セクタが発生する原因をなるべく減らすようにこころがけると良いでしょう。
例えば、突然PCの電源を切らないようにする、などということや、PCを落としたりぶつけたりしないように注意するというようなことですね。
HDDはもちろん、PC本体自体の故障を防ぐ観点からも、なるべく慎重に扱うようにしましょう。