中小企業がCRM(顧客関係管理)を導入するメリットや事例
中小企業でCRMを導入する場合、
「何を使用すればいいのか」
「導入する前にどうすればいいのか」
という課題に直面することもあると思います。
こちらの記事では、CRMとは?といった基本的な部分から、メリットやデメリット、ツールを選ぶ際のポイントなどを説明しています。
また、いくつかのCRMツールの紹介もしていますので、ぜひ検討の参考にしてください。
クリックできる目次
中小企業にとってのCRMとは
CRMは、使いこなせば力強いツールです。
しかし、当然、ただ導入するだけでは効果を発揮しません。
道具を使う時は、それで何ができるのかを知ることが第一歩ですよね。
CRMについても同様です。
この項目で解説する、
- そもそもCRMとはなにか?
- 中小企業がCRMを使ってできること、できないこと
を参考に、CRMに対しての理解を深め、活用への第一歩にしていただけたらと思います。
そもそもCRM(顧客関係管理)とは
CRM(Customer Relationship Management)は、日本語では顧客関係管理と呼ばれます。
もともとはマーケティング手法の呼称で、自社と一人ひとりの顧客との関係を詳細に管理して営業する方法のことです。
現在では顧客関係管理に特化したシステムのことも含めてCRMと呼びます。
この記事では、CRM=顧客関係管理ツールです。
CRMでは、顧客を軸として案件や商談を管理できます。
製品によって機能もさまざまで、中にはSFAや MAなどの機能を備えているものもあります。
中小企業がCRMを使ってできること、できないこと
CRMでできることは、以下のようなものです。
- 顧客に関する管理
- 商談状況管理
- メール配信
- 問い合わせフォーム設置など
顧客情報をひとつにまとめて社内での共有も可能です。
その他にも、システムでの日報提出がおこなえたりします。
反対に、ウェブサイトでユーザーがどのような動きをしたかの確認は、基本的にCRMではできません。
一方で、他ツールとの連携により、記録されたウェブデータと顧客情報を結びつけることが可能です。
中小企業がCRMを導入するメリット
CRMでできることによって、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。
今回は以下3つを挙げます。
- 顧客の温度差に対応した接客がしやすくなる
- 温度差をはかるコンテンツとCRM
- 人手不足対策にもなるCRM
顧客の温度差に対応した接客がしやすくなる
顧客にはそれぞれ、温度差がありますよね。
「今、商品、サービスに対して、顧客はどんなスタンスか?」は、それぞれ違います。
簡単に、靴屋さんで例えてみます。
ここに3人のお客様がいるとします。
- Aさんは革靴が欲しいと思っている
- Bさんはどの革靴をどこで買うか比較検討している
- Cさんはもう革靴をこの店で買った
……など、お客様の中には、潜在的な顧客から購入履歴のある方までさまざまですよね。
この温度差に合わせて営業したい時に、サポートしてくれるのがCRMです。
CRMツールを導入し、顧客情報をまとめることで、顧客がどのような状態かリアルタイムに把握できます。
温度差をはかるコンテンツとCRM
また、ウェブコンテンツを管理するツールとCRMを連携させることで、ホームページやネットショップ、SNSに訪れた顧客の温度差をはかることもできます。
ウェブコンテンツを管理するCMSの中には、ユーザーの回遊率や閲覧したページがわかるものもあります。
それをCRMと連携させて、どの記事から問い合わせをしてきたかなどを把握できます。
それらを分析することで、温度差に適切なメッセージを送るなど、それぞれの顧客に寄り添ったアプローチが可能です。
人手不足対策にもなるCRM
CRMを活用すれば、現場の負担減に繋がり、人手不足にも対応できます。
CRMによって日報や情報登録を効率化すれば、登録、確認の作業負担が減りますよね。
また、CRMを活用していれば顧客データの一元化と共有がされているはずなので、引き継ぎもスムーズにおこなえます。
中小企業がCRMを導入するデメリット
CRMにはメリットもありますが、やはりデメリットもあります。
理解しておくことでできる限りデメリットを抑えられると思いますので、参考にしてください。
CRMのデメリットは、以下のようなものです。
- 導入、運用のコストがかかる
- 費用対効果がわかりにくい
導入、運用のコストがかかる
CRMを導入するにはコストがかかります。
製品によっては無料プランを利用することが可能ですが、無料プランではできることが限られます。
必要な機能によりますが、基本的にはCRMの利用は有料だと考えたほうが良いでしょう。
月額、年額、また利用するユーザー数などによって金額が変わるものもあります。
費用対効果がわかりにくい
CRMを導入しても、すぐに数字としての効果がわかるものではありません。
そのため、導入直後にはコストに対しての恩恵を感じにくい可能性があります。
顧客とのより良い関係を築くという目的に対して、データをひとつにまとめるなどの手助けをしてくれるのがCRMです。
そのため、このような理由や目的を明確にして共有することが大切です。
それでも効果が薄いと感じる場合は、CRMへ情報を登録する際のルールが企業内でバラバラになっていないか、変えた方が良い設定はないかなどを随時チェックしていきましょう。
中小企業がCRMを選ぶ上での注意点・確認事項
CRMを選ぶ際には下記のような確認事項があります。
- 自社の現状を把握する
- CRMを導入する目的やゴールを明確にして共有する
- 必要な機能をリストアップする
- 他のツールの状況を確認する
これらを把握することで、自社にあったCRMを選べます。順番に確認していきましょう。
自社の現状を把握する
CRMを導入する前に、自社の現状を把握しておくことが肝心です。
なぜなら、現状や問題点を洗い出しておかないと、CRMを運用していく目的をつかめないからです。
たとえば、こんな問題はないでしょうか?
- 顧客情報が各部署に散らばってしまっている
- 営業それぞれが顧客情報を持ってしまっている
- 顧客情報の共有が不十分で、二重に営業してしまうことがある
上記が原因で、思うように生産性が上がらない場合もありますよね。
それを解決するために、顧客情報を一元化して共有したいという目的が改めてはっきりします。
そのうえで、次の項目で説明しているようなゴールを設定するのが良いでしょう。
このように、問題点や現状を把握することで、CRMを導入する目的が明確になっていきます。
CRMを導入する目的やゴールを明確にして共有する
CRMを導入する前に、その目的を明確にすることが大切です。
たとえば、CRMを利用して生産性をあげることで……
- 見込み客から顧客を〇%増やすのが目的
- 既存顧客からの売上を〇%増やすのが目的
などですね。
また、それを企業内で共有することもポイントです。
「新しいシステムを導入したのでこれからはこれを利用してください」というだけでは、今までも他で管理をおこなっていた社員からしたら、面倒だなと思うかもしれません。
しかし、目的がわかっていれば、CRMへ顧客情報や営業状況を集約することが重要である、という意識が芽生えますよね。
必要な機能をリストアップする
CRMを導入する前に、自社で必要な機能をリストアップしてみましょう。
確かに、CRMにはたくさんの機能があります。
しかし、あれもこれもと機能を増やしても、逆効果です。
できることが増えるということは、やらなければならないことも増えますよね。
それでは作業の負担になってしまい、社内に浸透しない恐れもあります。
大切なのは、本当に必要だと思う項目に絞ってツールを選択することです。
そうすることで、CRMをより効果的に使用できます。
MAやSFAなど他のツールの状況を確認する
現在、SFAやMAなどのツールを利用中でしょうか?
CRMの中には、SFAやMAの機能を兼ねているものもあります。
そのため、機能が重なる場合には、CRMのみに切り替えるという選択肢もあります。
また、SFAやMAと連携可能なものもありますので、確認してみてください。
中小企業がCRMを選ぶポイント3つ
CRMを選ぶポイントは、以下の3つです。
- クラウドかオンプレミスか
- 提供企業のサポート体制
- 無料トライアルが使えるか
それでは、一つずつ確認していきましょう。
クラウド(SaaS)かオンプレミスか
クラウド(SaaS)は、ネットワークを介して利用できるサービスの方式です。
サーバー等の準備は必要なく、すぐにはじめられてすぐにやめられるのがメリットです。
初期費用が低コストで、メンテナンス等もサービス提供者がおこなうため必要ありません。
デメリットは、カスタマイズ性については提供されているサービスによって差があること、長期的には高コストになる可能性があることです。
オンプレミスというのは、サーバーなどの機器を用意して運用する方法です。
企業内に機器を用意するため、メンテナンス・管理も自社でおこないます。
機器の設置には高額の費用がかかるうえ、導入までに時間がかかるのがデメリットです。
その反面、自社運用のためカスタマイズ性・セキュリティ面で優れているのがオンプレミスのメリットです。
現在は、初期費用が低コストで導入に時間のかからないクラウドが主流です。
CRM提供企業のサポート体制を確認する
次に大切なのは、企業のサポート体制です。
CRMを導入しても、最初のうちは使い方が浸透していなかったり、わからなかったりして問題が発生するかもしれませんよね。
その時に手厚くサポートしてくれるかどうか?を確認しておくのが良いでしょう。
サービスによっては、料金をプラスすることでサポートをつけられるものもあります。
無料トライアルなどお試しができるか
CRMツールの中には、無料で全ての機能を体験できるものもあります。
最初にこれらのトライアルを利用すれば、どのツールが使いやすいか、欲しい機能がそろっているか確認できます。
大切な顧客データを管理するためのツールなので、無料体験を試してから導入するのが良いでしょう。
中小企業のCRM導入事例
実際、CRMはどのような目的で使用され、どのような成果を出しているのでしょうか。
以下に中小企業でのCRM活用事例を紹介します。
分析機能を使い営業の精度がアップ
あるアパレルメーカーでは、営業の精度を上げるという目的でCRMを導入。
CRMで来店記録や販売金額の分析機能を使い、営業に役立てているとのことです。
導入開始直後は作業が増えただけに感じた社員もいましたが、データの充実とともに販売時の負担が軽減され、効果を感じられるようになったといいます。
情報漏れが一気に解消
複数ツールを使用し膨大な顧客管理をしていた企業では、CRMを導入することで月100件程度あった顧客情報漏れが解消。
また、ツール機能使用により問い合わせ数が激減し、必要な業務に専念できる時間が増加しました。
Excel管理、メール添付からの脱却
Excelで顧客情報管理をおこなっていたある企業では、会議資料加工にも時間がかかってしまうという問題が発生していました。CRMを導入することで資料作成の手間が省けた他、日報提出もメール添付から脱却し効率化につながったそうです。まずは一部の営業部から導入。その後計画を立てて地方に浸透させることで、広範囲での活用が可能になったといいます。
中小企業が導入しているCRMの特徴
CRMとひとことでいっても、製品によってその特徴はさまざまです。
自社に必要な機能を明確にしたら、つぎはそれに合う特徴を持ったツールを探す必要がありますよね。
この項目では、4つのCRMの特徴を紹介します。
※情報は2021年2月時点のものです。
やよいの顧客管理
業種別テンプレートや導入サポート機能があり、スムーズに使い始められるのが特徴です。データバックアップサービスもあります。
形態 :デスクトップアプリ
プラン :セルフ〜トータル(販売価格5,000円〜13,000円)
機能 :ハガキや送り状発行サービスと連携可能
無料体験 :あり 30日間
サポート :安心保守サポートあり
その他 :弥生シリーズと連携可能
Zoho CRM
スマートフォンアプリがあり、外出先でもデータ入力が可能です。月額料金も1,440円からと低コストなのも特徴。
形態 :クラウド
プラン :スタンダード〜アルティメット(月額1,440円〜5,400円)
機能 :優先顧客抽出、行動分析、タスク管理など
無料体験 :あり 15日間
サポート :オンライン導入サポートあり
その他 :無料スマートフォンアプリあり
Knowledge Suite
SFAやグループウェア、問い合わせ管理などの機能も一緒になっているサービスです。
また、共有における「見せる・見せない」を自動制御できるなどの特徴があります。
形態 :クラウド
プラン :月額6,000円〜80,000円(ユーザー数無制限)
機能 :グループウェア、SFAなど複数ツールがセット
無料体験 :あり グループウェアのみ使用可能
サポート :導入・運用支援サービスあり
その他 :スマートフォンからも使用可能
スマレジ
こちらはアプリを使用したレジ機能がメインのものですが、プランによっては顧客管理機能も使用可能です。
形態 :クラウド型POS
プラン :プランは無料〜リテールビジネス(1店舗月額12,000円)
機能 :レジ機能がメイン
無料体験 :あり 30日間
サポート :メールサポート・ヘルプデスクあり
その他 :プランによっては顧客管理機能も使用可能
スマレジ – iPad/iPhoneアプリを使った、無料で始める圧倒的な高機能クラウドPOSレジ
中小企業が導入するべきCRMまとめ
CRMツールを使用することで、顧客関係データを一元化できます。
顧客に関するあらゆる情報をひとつにまとめることで、さまざまな切り口で戦略を立てられるようになります。
その他にも、営業担当の日報作成・提出の負担を軽減したり、管理側は日報を集約し分析に役立てたりすることも可能です。
また、CRMを導入する前に、その目的を明確にし、共有しておくと良いでしょう。
その上で、現場が使いやすいようにカスタマイズしておくのもポイントです。