マーケティングにおけるLTV(Life Time Value)の考え方と計算方法
マーケティング戦略を立てる上で、「LTV」というキーワードを耳にしたことはないでしょうか。
なんとなくはわかるけれど、それがどのようにマーケティングに関連しているかわからないと感じている人もいるかもしれません。
もしくは、LTVをどのようにマーケティングに活かすべきか悩んでいる人もいるでしょう。
今回の記事では、そんなLTV(Life Time Value)について解説します。
LTVをどのように把握しマーケティングに最適化するかを理解したうえで、よりスピード感のあるマーケティングを展開していきましょう。
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LTV(Life Time Value)とは、マーケティング戦略で外せないキーワード
LTVは、マーケティング戦略の中で欠かせないキーワードです。
こちらの項目では、下記2つの内容に沿ってLTVを掘り下げていきます。
LTVについてまったくわからないという方も、LTVという言葉は聞いたことがあるけれどどのように活用すべきか悩んでいる方も、参考にしていただければと思います。
- LTVとは?
- LTVを把握、最適化して効果的な広告運用をする
マーケティングのおけるLTVとは?
「LTV」とは、「Life Time Value」の略で、翻訳すると「顧客生涯価値」となります。
顧客生涯価値、というのは、一社もしくは一人の顧客から得られるトータルの利益です。
トータルというのはすなわち、その顧客を獲得した時点を始まりとし、獲得した顧客が離脱してしまうまでの間のことですね。このLTVは、当然ですが顧客がその商品・サービスや企業に対して良い印象を持ち、ファンであるほど高い傾向があります。
また、新規顧客の獲得にかかるコストは、既存顧客から利益を得るためのコストの5倍と言われています。
これは、「1:5の法則」と呼ばれています。既存顧客が1のコストだとして、新規顧客が5ですね。
さらに、「5:25の法則」というのもあります。
これは、顧客の離脱を5%防止できれば、25%の利益改善につながるというものです。
- 新規顧客から利益を得るためには大きな労力が必要
- 既存顧客であれば労力も小さく利益も出しやすい
- 既存顧客を大切にすることが、利益改善の近道
紹介した2つの法則からわかる上記の内容を理解すれば、現在いる顧客の離脱を防ぎ、いかに維持するか、が大切だというのが明確でしょう。
ただし、事業の成長や将来性を考えると、新規顧客の獲得も重要です。
要するに、新規顧客獲得と既存顧客の維持のバランスをうまく取るのが理想だということです。
このように、顧客の離脱を防ぎつつ、他の戦略と合わせてできるかぎりLTVを最大化する、それがマーケティングの課題の一つではないでしょうか。
LTV(Life Time Value)を把握、最適化して効果的な広告運用をする
より効果的に広告運用をするには、上記項目で説明したLTVについて把握する必要があります。
まず今のLTVがどのようになっているのか、その上でそれを最適化するにはどうしたら良いかという戦略を考えることが大切です。
理由は、商品内容やターゲット・現在のLTVによって、必要なアプローチが変わってくるからですね。
LTVの算出方法については、次の項目で解説しています。
LTV(Life Time Value)の計算方法 マーケティングでの広告戦略に必要な数値
LTVを把握するためには、下記のような計算式で算出する必要があります。
【LTVを求める基本的な計算式】
平均購買単価×平均購買頻度×平均購買継続期間
- 平均購買単価…顧客一人あたりの購入金額
- 平均購買頻度…顧客が一定期間内に購入する頻度(通常1年間)
- 平均購買継続期間…顧客が離脱するまでの平均期間
つまり、Aさんが1,000円のランチを年30回の頻度で、3年間食べるとしたら
1,000×30×3=90,000円 がAさんのLTV、顧客生涯価値ですね。
実際には一人ひとりのLTVを算出すると大変ですので、顧客の平均数値から算出するのが基本です。
ここから新規顧客の獲得にかかる費用と顧客維持費用を引くと、よりコスト・利益を考慮したLTVが算出できます。また、中小企業の場合は、年間のLTVを把握すれば十分でしょう。
LTV(Life Time Value)を最大化して有利な戦略を作る
前項目までをお読みいただいたら、LTVについては大方理解できたのではないかと思います。
それでは、そのLTVを最大化するにはどうしたら良いのでしょうか?
本項目では、LTVを最大化して有利な戦略を作るための方法を6つ紹介します。
- 無理なく値上げする
- セット販売
- サブスクリプションにできないか?
- リマインドメール
- メールマガジン
- スマートフォンアプリ
無理なく値上げする
LTVを上げる方法のひとつとして、値上げがあります。単純に、単価を上げればそれだけ利益も上がるので当たり前といえばそうですね。
ただし、「無理なく」値上げをするのがポイントです。
なぜなら、値上げをおこなうことで発生するリスクがあるからです。値上げのリスクは、顧客が他社へ流れてしまうなどですね。
このようなリスクを防ぐためには、「無理なく値上げをする」ということと、もうひとつ重視する部分があります。
それは、「商品・サービスが売りにしている部分を把握する」ということです。
要するに、顧客がその商品に対して感じる価値がより大きければ、値上げをしても問題ない場合が多いのですね。とはいえ、値上げをするにあたっての納得できる理由は必要でしょう。
反対に、その商品・サービスが売りにしているポイントによっては、値上げをしないほうが良い場合もあります。たとえば、他社商品よりお得、といった部分を武器にしている場合などです。
このような場合、単純な値上げというよりは、松竹梅などの手法を使うほうがいいかもしれません。
松竹梅というのは、高いメニュー・中くらいのメニュー・安いメニューを用意すると、人は真ん中を選ぶというような心理を利用した手法です。
品質を落とすのは避けたいけれど、高すぎるのも好ましくないと感じる心理のようですね。
もちろん、高品質・高価格なものがほしいと感じる方も一定数いて、とにかく安いほうが良いと感じる人もいます。この方法では、そのような人たちにも対応できるのですね。
メニュー・ラインナップを増やす手間はありますが、こういった方法を取り入れることでトータル的に無理なく単価を上げられます。
また、「この値段のメニューがあれば」と思っていた潜在的な顧客を獲得できるチャンスにもなるかもしれません。
セット販売
LTVを上げるための客単価アップ方法のひとつに、セット販売があげられます。
買い物をする時、よく一緒に購入する組み合わせがセット販売されていたら便利だと思いませんか。お客様が同時購入することの多い組み合わせの商品をセットにすると、購入者がいちいち単品をいくつもカートに入れる負担を減らせます。
他にも、運営者の視点からおすすめの組み合わせを提案するのも良いかもしれまん。
また、同一商品を複数セットにし、一度の購入金額を増やすのも良いでしょう。同時に、セットでの販売金額をお得だと感じてもらえたり、ほしいセットがあると感じてもらえたりすれば、顧客との長期的な関係・LTVの上昇につながるのではないでしょうか。
サブスクリプションにできないか?
サブスクリプションは、月額で使い放題のサービスです。近年、ミュージックアプリサービスやファッションレンタルでも増えている形態ですね。
サブスクリプションサービスでは、顧客から毎月決まった利益を得られます。サービスを利用停止されてしまうと利益がすっぱりなくなってしまうというのはデメリットです。
継続してもらうためのアップデートは必要になりますが、顧客との長期の関係性をつくるのに向いている形態ですね。サブスクリプションとLTVの関係性は、こういった意味でも注目されています。
長期に顧客を維持する上では、従来の販売と合わせてサブスクリプションで月額を支払えば使い放題にできるサービスを展開するのも良いかもしれません。
リマインドメール
実は、「忘れる」というのも顧客が離脱する一つの要因です。
私達は日常生活の中で、多くのサービスや商品に触れています。そして、日々情報は増えるばかりです。
そんな中では、「気に入ったストアがあったので再び買い物しようと思っていたけど忘れてしまっていた」、なども起こりうる話だと思います。
そのサービスや商品が気に入らなかったわけでもないのに、「忘れる」という事象によって客離れが起こってしまうのは、大変もったいないのではないでしょうか。
そのような場合には、条件に該当する顧客へのリマインドメールの送信も効果的です。
たとえば、オンラインショップでお買い物中の利用者が買い物かごに商品を入れたまま長期間離脱している場合は、どのようなことが考えられるでしょうか。
商品をいったん買うつもりでかごに入れたけれど、迷ってしまいそのまま離脱してしまった可能性もあります。
しかし、単純に商品をかごに入れたまま買い忘れている可能性も考えられますよね。
この場合にリマインドメールを送信することで、買い忘れている顧客の購入を促せます。
その他にも、配布したクーポンの期限が迫っている場合のアラート、セール開始直前・終了間近などのお知らせなどにもメールでリマインドすると、顧客側としても助かるはずです。
そして、顧客の買い忘れ等を防ぐことで、運営側としても利益を最大化できるのではないでしょうか。
メールマガジン
リマインドメールだけではなく、定期的なメールマガジンも使い方次第で効果が見込めます。
自社サービスのアピールだけではなく、お得なセール情報やユーザーにとって有益な情報を配信すると、他のマルマガとの差別化につながるでしょう。
たとえば、サービスがファッション系の場合、顧客にとって有益なのは季節のトレンドファッションの情報かもしれません。また、自社商品の通常とは異なる使い方を紹介するメルマガも利用者にとっては有益ですよね。
このように、メールマガジンなどでも顧客にとって価値ある情報を発信するよう心がけると、顧客との関係性を長期に渡って続けられるのではないでしょうか。
スマートフォンアプリ
自社サービスと連動したスマートフォンアプリを利用するという方法もあります。
アプリでは最新情報をいち早く通知したり、クーポンを配布したりすることなども可能です。先述したリマインドメールの役割も果たせます。両方を活用しても良いですし、ターゲットに合わせてどちらかを利用するのも良いですね。
ホーム画面への直接通知が可能なスマホアプリは、通知からのアクセスやそこからの購買などを既存顧客に高確率で促せるツールだと言えるでしょう。
LTV(Life Time Value)とCAC(Customer Acquisition Cost)
より効果的なマーケティング戦略を立てるためには、LTVだけではなくCACについても理解する必要があります。
では、このCACとは一体どういったものなのでしょうか。
こちらの項目では、CACについての解説と、LTVとのセットで効率的なマーケティングの運営を可能にする方法を紹介します。
CACとは?
CACとは、「Customer Acquisition Cost」の略で、「顧客獲得コスト」を指します。
新たな顧客を1人獲得するために必要なコストのことです。
算出方法は、以下の計算式です。
【CACを求める計算式】
新規顧客を獲得するための費用総額÷獲得した顧客の数
つまり、広告費が50万円で新規顧客が50人得られた場合には、CACは1万円ですね。
顧客一人を獲得するのに1万円必要という計算です。
そして、獲得した顧客からは、獲得コストを回収しさらに利益を得る必要があります。そこで、LTVとのバランスを考えて効率的なマーケティングをおこなうべきなのです。
LTV(Life Time Value)とCAC(Customer Acquisition Cost)で効率的な広告戦略を作り運用する
LTV/CACを確認すると、利益を出せているか確認できます。
算出結果が1以上であれば利益があると言えますが、最適なのは3以上です。
要するに、顧客から得られる総利益(LTV)が顧客獲得コスト(CAC)を上回っていなければ、当然ながら赤字というわけです。
そのためには、顧客を維持しLTVを上げる必要があると同時に、広告を効率化してできる限りCACを少なくできると理想的でしょう。
効率的な広告戦略をつくるには、市場の調査やそれによるターゲット絞り込みが重要です。
LTV(Life Time Value)とマーケティングについてのまとめ
今回は、LTVとマーケティングについての解説をしました。
マーケティングにはLTVが欠かせません。
このLTVを最大化することに成功すれば、効果的なマーケティング戦略を立案して運用できます。
また、LTVと関連性の深いCACについても解説しました。
この2つの関係を把握し的確なプロモーションができれば、マーケティングもよりスピード感のあるものになるでしょう。