今回は、メモリーとストレージの違いについて解説します。
本記事は以下のような方におすすめです。
- メモリーとストレージ、よく聞くけれど違いがわからない
- そのため、パソコンなどを選ぶ際に必要なメモリーやストレージの目安もわからない……
- さらにCPUが絡んでくるともっとわけがわからない!
最近では身近な存在であるPC・スマホ・タブレットですが、意外とこれらの言葉について理解できる機会は多くありませんよね。
こちらの記事では、そのような方に向けてメモリーとストレージの違いをなるべくわかりやすく解説します。
簡単に結論を述べると、メモリーとストレージには以下のような違いがあります。
- データの記憶期間
- 電源を切った場合のデータの扱い
- CPUからの直接アクセスの可否 など
つまりどういうことなのかがわかりづらいかもしれませんので、記事の中で具体的に解説していきます。
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メモリーとストレージの違いをわかりやすく!回答です①メモリーの役割とは
はじめに、メモリーとストレージについてそれぞれの役割を解説します。
まずはメモリーについてです。
メモリーとは、一時的に必要なデータを保存する役割を持った記憶媒体です。
一時的に必要なデータとは、テキストメモやメール・アプリの操作などの「戻る(Ctrl+Z)」でもとに戻すための操作記録や、ブラウザページを辿った軌跡などですね。
そして、メモリーはさらに2つの種類に分かれます。
それが、
- RAM
- ROM
です。
それぞれの違いについてチェックしてみましょう。
メモリーとストレージの違い:RAMとは?
RAMとは、「Random Access Memory(ランダムアクセスメモリー)」の略で、上記で説明したように一時的にデータを保存するメモリーを指しています。
つまり、主にメモリーと言えばRAMのことを指すと考えてよいでしょう。
メモリーとストレージの違い:ROMとは?
ROMとは、「Read Only Memory(リードオンリーメモリー)」の略で、その名の通り読み取り専用のメモリーのことです。
書き込みができないメモリーには、主にゲームソフトや音楽CDなどが挙げられます。
また、スマホに保存できる容量(ストレージ)のことをROMと表現している場合もあります。
本来であればROMは書き込みができないので、少し混乱する表現と言えるかもしれません。
「メモリー何ですか」とは?聞かれたら……
「このパソコン・スマホ、メモリー何ですか?」と聞かれて何のことかよくわからないと思ったことがある方もいるかもしれません。
メモリーについて聞かれること自体があまりなさそうですよね。
Windowsのパソコンの場合は、以下のような手順でメモリー容量を確認できますので、その値を答えればよいでしょう。
- 「スタート(Windowsマーク)」を選択します。
- 「設定(歯車マーク)」を選択します。
- 「システム」を選択します。
- 「詳細情報」を選択します。
- 「実装RAM」に表示されている「◯◯GB」がメモリーの容量です。
また、メモリーを次で解説するストレージと混同しないよう、注意しましょう。
メモリーとストレージの違いをわかりやすく!回答です②ストレージとは
次に、ストレージについて解説します。
ストレージとは、長期的・永続的なデータを保存する役割を持った記憶媒体です。
簡単に言うと、
「スマホの容量64GBじゃ足りないかな?」
「写真をたくさん撮るから、128GBでも足りないかも!」
などの会話で出てくる「容量」がこのストレージにあたります。
パソコンでは、HDD(ハードディスク)やSSDの容量がこのストレージの容量ということになります。
このストレージ(容量)が多ければ多いほど、そのスマホやPC本体の中に写真や動画、アプリケーションなどのデータをたくさん保存できる、という考え方でよいでしょう。
自分のパソコン・スマホのストレージはどのくらい?チェックしてみましょう
ストレージについて、役割や概念を理解できたでしょうか?
実際に自分の持っているパソコンやスマホのストレージをチェックしてみると、よりイメージできるかもしれません。
また、ストレージをチェックすると、最大の容量に対して現在どのくらいの容量を使用しているのか、残りの容量がどのくらいなのかも確認できます。
【Windowsパソコンのストレージをチェックする】
- 「スタート(Windowsマーク)」を選択します。
- 「設定(歯車マーク)」を選択します。
- 「システム」を選択します。
- 「記憶域」を選択します。
- 使用済み容量と全体の容量が表示されます。
【Macパソコンのストレージをチェックする】
- 「Appleメニュー」を選択します。
- 「システム設定」を選択します。
- 「一般」を選択します。
- 「ストレージ」を選択します。
【iPhoneのストレージをチェックする】
- 「設定」アプリを開きます。
- 「一般」を選択します。
- 「iPhoneストレージ」を選択します。
- 現在の使用済み容量と全体の容量、アプリごとの使用容量が表示されます。
【Androidのストレージをチェックする】
- 「設定」アプリを開きます。
- 「デバイスケア」を選択します。
- 「ストレージ」を選択します。
メモリーとストレージの違いをわかりやすく!回答です③結論と補足
メモリーとストレージについて解説してきましたが、それぞれの特徴と役割について理解できたでしょうか?
まとめると、
- メモリーは「作業に必要な一時的なデータを保存する」役割
- ストレージが「電源を切っても消えない長期的・永続的なデータを保存する」役割
を持っているということになります。
補足①メモリーとストレージを使い分けているのはなぜ?
ところで、「ストレージもメモリーも記憶媒体なのに、なぜわざわざ使い分けているのか」という疑問が出てきた方もいるかもしれません。
両者を使い分けている背景には、それぞれのデータの読み書き速度が関係しています。
たとえば、メモリーを使わずすべてのデータをストレージで処理するとどうなるのでしょうか?
答えは、「パソコンの動きが遅くなる」です。
理由としては、ストレージはメモリーと比較してデータの読み書き速度が遅いことが挙げられます。
そのため、一時的に保存すれば良いデータまですべてストレージで処理すると、読み書き速度の関係で動きがもっさりしてしまうことが考えられるのです。
データの読み書き速度を考慮した上で、メモリーとストレージは使い分けられているのですね。
補足②メモリー不足によるストレージへのデータ退避について
実は、多くのアプリやソフトを一度に立ち上げて作業している時にも、ストレージのみでデータを処理する場合と同じような事象が起きることがあります。
それが、メモリ不足によるストレージへのデータ退避です。
これを現実の作業で例えてみると、以下のようなイメージです。
「机の上でいろいろな仕事をしているが、書類が多く机のスペースが足りなくなってきた!これ以上は資料を広げられないから、今やっていない仕事の書類は本棚にしまうか」
この状況では、机の上に置いてある資料はすぐに確認できます。しかし、本棚にしまった書類は取りに行かなければいけないですよね。
メモリー不足の状態は、上記の状況と同じです。
たくさんのアプリが立ち上がってメモリーが足りなくなると、メモリーは一時的にストレージへデータを退避させます。
つまり、ストレージへの書き込みが発生するということです。
そして、その退避させたデータが必要になると、ストレージからメモリーにデータを戻します。ここでも、ストレージでのデータの読み書きが発生してしまいます。
メモリー不足に陥ると読み書き速度が遅いストレージでの作業が発生してしまうために、動作が遅くなってしまうのです。
CPUはメモリーとストレージとは違う?わかりやすく解説
パソコンについて調べているとメモリーやストレージと同じくらい目にするのが、「CPU」かもしれません。
CPUとは、簡単に言うと「パソコンに接続されているさまざまな装置に命令を出す役割を持った制御装置」「プログラムに従い演算をする装置」です。
そのため、メモリーやストレージとは明確に異なる役割を持っています。
メモリーやストレージにデータの読み書き指示を出しているのも、CPUです。
たとえば、
「このデータはまだ使うから、一時的に机の上に置いておくか(メモリーに保存)」
「こっちのデータは大切に本棚にしまっておくか(ストレージに保存)」
といったように、判断して振り分けてくれているのですね。
また、CPUは演算装置としての役割も持っています。
プログラムを読んで演算する……というと難しく感じるかもしれません。
ざっくりいうと、プログラムは「このアプリでここがクリックされたらこの動きをさせてね」などの指示をするマニュアルのようなものです。
CPUはこのマニュアルに従ってさまざまな装置を制御しています。
このように、CPUは制御・演算装置であり、メモリーやストレージとは違った脳みそのような役割を持っています。
メモリーとストレージの違いを考慮したパソコンの選び方
メモリーとストレージの違いについて理解できたら、それらを考慮してパソコンを選んでみましょう。
現在パソコンでどのような作業をしているか、今後どのようなアプリを使用するかでも必要なメモリーやストレージは異なります。
メモリーとストレージはどちらが優先?
メモリーとストレージはどちらが優先かというと、用途によります。
特に、メモリーについては何を行うかで必要とされる容量が異なってきます。
たとえば、ネットサーフィンやちょっと動画を見るという程度の作業を行う場合、メモリーが8GBもあれば十分でしょう。
しかし、動画を編集したりオンラインゲームをするという場合は、もっと多くのメモリーが必要です。
16GB程度で普通画質のゲームやHD動画編集が可能、もっとこだわってゲームをやる場合や開発を行う場合には32GB以上のメモリが必要になるかもしれません。
さらに、それに伴って必要なストレージの容量も多くなり、脳みそであるCPUも高い性能のものが必要になってきます。
一方で、あまり難しいことや重たいソフトの操作がないという場合でも、多くの動画や写真を保存しておきたい場合には256GB以上のストレージがあると安心ではないでしょうか。
また、最近では、本体ではなくオンライン上にデータを保存できるクラウドストレージも普及しています。
写真・動画などのデータ保存が目的であれば、本体のストレージは最低限にしてそういったクラウドサービスを活用していくのも選択肢のひとつです。
このように、パソコンを選ぶ上では、どんな作業を行いたいかをはっきりさせておくことで目的に応じたスペックを選択できるでしょう。
よくある質問【その他】
メモリーとストレージについてよくあるその他の質問は、以下のような内容です。
Macのパソコンのメモリーとストレージの違いは?
Macについても、メモリーとストレージの違いは以下の項目で解説した内容と同じです。
メモリーカードとSDカードの違いは?
SDカードとメモリーカードは同じです。
ただし、メモリーカードはSDカードを含む記憶装置の総称であり、SDカードはその中でも主流の規格となります。
SDカードには切手ほどの大きさのものからさらに小さいサイズのものがあり、カメラやスマートフォン、ゲーム機などのデータを記録するために使われています。
まとめ
今回は、メモリーとストレージの違いを中心に解説しました。
カタカナでなんとなくイメージも似ているためわかりにくい専門用語のように感じますが、それぞれに役割があるというのがイメージできたのではないでしょうか?
最後にもう一度まとめておきます。
- メモリーは一時的なデータを保存する机のような役割で、読み書き速度が早い
- ストレージは長期的・永続的なデータを保存する本棚・引き出しのような役割で、読み書き速度はメモリーより遅い
たくさんのアプリを同時に起動して多くの作業を行いたい場合は、メモリーの容量が大きめの物を選ぶと快適に作業できます。
たくさんの写真や動画などを保存したい場合はストレージが大きいものを選ぶとよいでしょう。
このように、メモリーやストレージについて少しでも理解を深められると、今後も起こりうるであろうPC・スマホ選びでより目的に合ったデバイスを選択することができるのではないでしょうか。